事故が起こってはせっかくのトレイルランニングが台無し。自然のリスクに備えたリスクマネジメントの発想を!
素晴らしい眺め、静かな自然、トレイルランニングには多くの魅力があります。
しかし、クスリに副作用の危険が伴うように、自然の持つ魅力はリスクと表裏です。里山のハイキング道でも事故は発生します。最近はトレラン中の遭難も増えています。レース参加時にも、トラブルは生じます。
● 自然の中のリスクにはどんなものが?
● リスクに備える用具と装備
● 備えるべき知識・スキル
● 環境やトレイルを共有する他者への配慮も忘れずに・・・
トレイルランナーも遭遇する山の危険として、以下のようなものがあります。示した対処法は一例です。
多くは低山で発生し、時には滑落・転落など重大な事故につながります。
急斜面から落ちることで、重大な事故につながります。
不整地の路面や岩場で発生しやすく、捻挫・骨折といった意外な重傷になることも。動けなくなれば、低体温その他のトラブルにも進行します。
高齢者では心不全などのトラブルが発生することもあります。
気温や湿度が高い時には、熱中症が、逆に気温が体温より低ければ、夏でも低体温症が発生します。
山の悪天候は命をも脅かします。雷はもちろん、雨も低体温、滑落など様々な派生的リスクを生み出します。
場所によっては動物・虫の襲撃、のリスクもあります。熊は毎年数人のけが、ハチは10人を越える死者を出しています。特に中高年で要注意。
ただし道具は万能ではありません!スキルと知恵があってこその道具。
一例
トレランでは1時間体重1kgあたり8-10mlの水、エネルギーは同様に8-10kcalが必要だとされています。十分な水・食料に加え、常に非常用の水・食料を携帯します。
地図・コンパスを携帯し、道迷いを防ぐとともに、エスケープルートを常に確保しましょう。
サバイバルブランケット(防寒)、ヘッドライト(照明)、湿潤ばんそこ・テーピングを持って、トラブルに備えましょう。
装備とスキルの両方で、初めて安全が守れます。
標高による気温の低下、天候の変わりやすさ、救助活動時の困難など、自然環境の特性を理解し、常に対応力の習得に努めましょう。
行程に対応できる体力、ランニングスキルを身につけましょう。ぎりぎりで走りきるのではなく、余裕を持って走りきれる行程の計画が肝心です。
地形が分かるレベルの読図力と、道に迷わないためのナヴィゲーションスキルを身につけましょう。
捻挫対応のテーピングをマスターしましょう。そのほかにも止血、救命救急、搬送法、効果的な救助要請の方法など、いざという時慌てない救急法を身につけると安心です。
トラブルを想定し、起こった時どうするか常に考えましょう。マニュアルや知識によって計画的に対応とともに、その場での臨機応変な対応が必要です。
また、練習では極力2人以上のグループで出かけるようにしましょう。いざという時あなたを助けてくれるのがパートナーです。
リスクへ備えることは、危険を防ぐだけでなく、あなたのトレイルランニングをより楽しいものにしてくれます。
ごみ捨て厳禁はもちろん、トレイルをはみ出し、路傍の草を不用意に踏むのを避けましょう。
他の活動者にあったら、安全で礼儀正しい追い抜き・すれ違いを心がけましょう。
本内容は村越の個人的見解ですが、山岳遭難統計や運動生理学研究者の山本正嘉さんの研究を参考にしました。
自然の中では、自分の身は自分で守ることが求められます。
備えるべき力・スキルに自信のない人は、必ず熟練者とともにトレイルに出かけましょう。
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